3 級ファイナンシャル・プランニング技能士 (同)Team IshiHara 代表 菅原 政行
今日カバーする範囲について
収入と所得
代表的な控除の考え方と、「103 万円の壁」
確定申告と源泉徴収の仕組み
確定申告書を作る
困った時は税理士に相談しよう
所得税の話をします
学生向けの話をします
私は税理士でないので、法律上 個別事例の話はできません
文字が多いです。ごめんなさい。
収入と所得は違います。 基本的な考え方はこんな感じ。
所得 = 収入 - 収入を得るためにかかったお金(経費)
どこまでが「収入を得るためにかかったお金」にできるか?には 色々な考え方があり、最終的には法律をもとに税務署が判断することになります。
まずは、次の 2 種類の所得を覚えておきましょう。
給与所得 - 会社から給料をもらった時 事業所得 - 自営業や副業で稼いだ時
給与所得
事業所得
他にも、 不動産所得 - 家賃や不動産投資 配当所得 - 株や投資信託 一時所得 - ギャンブルや賞金など などなどがあります。
所得税の金額は、次のように決まります。
課税所得 = 所得 - 所得控除
支払う税額 = 課税所得 × 税率 - 税額控除
税率は、課税所得の金額によって決まります(累進課税)。 控除(こうじょ)は、課税所得を減らす所得控除と、税額を直接減らす税額控除に大きく分かれます。
誰でも使える所得控除です。 納税者本人の合計所得金額が 2,400 万円以下の場合、合計所得金額から 48 万円が控除されます。
給与所得に使える控除です。 給与が 55 万 1 千円未満の場合は全額が、 55 万 1 千円以上 161 万 9 千円未満の場合は 55 万円が控除されます。
A さんがアルバイトで年間 103 万円を稼いだとしましょう。 基礎控除と給与所得控除が適用されます。
さて、A さんの課税所得はいくらになりますか?
この場合は、課税所得が 103 万円 - 103 万円 = 0 円 になるので、 所得税額は 0 円になります。
納税者が学生で、次の条件を満たす場合、 給与所得に対して使える控除です。
合計所得金額が 75 万円以下
給与所得以外の所得が 10 万円以下
控除額は一律 27 万円です。
所得 = 収入 - 経費
課税所得 = 所得 - 所得控除 所得税額 = 課税所得 × 税率 - 税額控除
所得税額 = 課税所得 × 税率 - 税額控除
給与所得と事業所得
基礎控除、給与所得控除、勤労学生控除
年収 700 万円の会社員の人がいるとして、 所得税額を計算してみましょう。
いくら年収 700 万円だったとしても、 年明けにいきなり 94 万円の所得税を支払うのは大変ですよね。
そこで、給与所得の場合は 会社が一年間の所得税を概算して 毎月の給与から天引きする仕組みがあります。
この場合は、毎月の給与から 7 万 8300 円くらい引かれます。
ところが、この金額は概算なので、実際の額とズレることがあります。
源泉徴収のズレを解消して、会社側で所得税を精算してもらえるのが年末調整です。 次の条件に当てはまる人が対象です。
年末調整をしてもらわなかった場合は、自力で確定申告することで 精算を行います。
所得を税務署に申告することで、所得税額を確定させることです。
所得税以外の申告もあります。消費税や相続税などが代表的です。
実は、税務署は国民全員の所得を把握しているわけではありません。
自分で所得がいくらになったかを申告することで、所得税の支払いが行われています。(申告納税方式)
申告をしなかったり、嘘の内容を申告したりすると、後から調査される仕組みです。
確定申告をしなくてもいい場合があります。
など。
国税庁サイト 確定申告が必要な方 参照。
課税所得が 0 円にならない場合
給与で年収 2,000 万円を超える場合
給与所得と退職所得以外の所得が年間 20 万円以上ある場合
医療費控除、寄附金控除、雑損控除を使う場合
複数のバイトを掛け持ちしている人や、年の途中でバイト先を変えた場合は、年末調整を受けていない可能性があります。
バイト先が年末調整をしてくれないこともあります。要確認!
ヒント:株式の配当は配当所得になり、年末調整の対象外です。
配当所得
→ 確定申告は必要ありません
掛け持ちの場合、A 社分の所得は年末調整されていません。申告することで、源泉徴収された所得税を取り戻せます。
A. 確定申告が必要でしょうか? B. 課税所得はいくらでしょうか?
ヒント: 賞金は一時所得になり、最大 50 万円の控除があります。 勤労学生控除が使えないことに注意が必要です。
一時所得
→ 確定申告が必要です。課税所得は 2 万円です。
事業所得が 50 万円となり、給与所得・退職所得以外の所得が 20 万円を超えるので確定申告が必要です。 給与所得は 0 円、一時所得も 0 円なので、事業所得から基礎控除の 48 万円を差し引き、課税所得は 2 万円となります。
所得税は申告納税方式
給与所得者は源泉徴収と年末調整で所得税が支払われる
年末調整を受けているかどうか確認する方法
確定申告が必要かどうか確認する方法
確定申告すればお金が返ってくる場合は、確定申告しなくてもよい
2 月 16 日から 3 月 15 日までの間に、前の年 1 月 1 日から 12 月 31 日までの所得について、「確定申告書」を税務署に提出します。
提出方法は、次の 3 つがあります。
還付申告
1 月 1 日を起点として 5 年前までさかのぼって申告できます。 2017 年内の所得は、2022 年 12 月 31 日までに申告が必要です。
できるだけ早く申告してください。 「期限後申告」となり、無申告加算税・延滞税が加算されます。
確定申告には、「青色」と「白色」の 2 種類の申告方法があります。 事業所得・不動産所得・山林所得のある人が、青色申告の対象です。
事前に青色申告することを届け出る
複式簿記で帳簿をつける
損失を三年間繰り越せる
青色申告特別控除(最大 65 万円)を受けられる
減価償却の特例を受けられる
国税庁の 確定申告書等作成コーナー が便利です。
源泉徴収票を使って、給与所得を入力してみましょう。
今日のようなことが面倒だと思ったら、税理士に相談しましょう。
法律上、税理士資格がない人は、個人の税務相談に乗ったり、他人に代わって確定申告をすることはできません。
もらったお金がどの所得になるか調べられる
基礎控除、給与所得控除、勤労学生控除、etc. がピンとくる
いくら源泉徴収されているかわかる
年末調整されているかどうかわかる
確定申告した方がいいかどうか判断できる
確定申告書が作れる